「コレステロール悪玉説」は、もはや過去のものになりました。
コレステロールが悪者でないことは、テレビでも度々報道されるようになりご存知の方も増えているかと思います。
厚生労働省も2015年4月に改定された「食事摂取基準」で、コレステロールの摂取基準を撤廃しました。
基準を設定する科学的根拠が見出せなかったことがその理由です。
元々、コレステロールはその8割が肝臓で作られており、不足分を食事で補っています。コレステロールはある程度高い人の方が元気で長生き、がんにも認知症にもなりにくいということは日本だけでなく世界中の研究で明らかにされています。
コレステロールの働き
総コレステロールは200mg/dlほどは欲しいところ。200mg/dlを切る人は、分子栄養学では栄養不足とみなされます。
コレステロールには多くの大切な働きがあります。
- ホルモンの働きに関与
- 細胞膜の材料
- 脳の神経伝達を助ける
- 胆汁酸の材料
- ビタミンDを体内で合成する材料
でもそれを知らないと、コレステロール悪玉説を容易に鵜呑みにして「健康のために肉を食べない」「油はとらないに限る」という偏った見方に陥ります。
そうすると、多くの弊害が生じます。
例えば、肉や卵を避け過ぎて低タンパクに陥ることで・・・
・早く肌にシワが増える
・代謝が低下し太りやすくなる
・筋肉不足
・骨が早くもろくなる
・免疫力が落ち、風邪や感染症、がんなどに罹りやすい体に
他にも、コレステロールが低いと
ホルモンが作られないことで・・・
・ストレスに弱くなる。
(抗ストレスホルモンの不足)
・性欲がなくなる。
・男性らしさ、女性らしさが失われる。
そんな残念な弊害が。
また、脳には体のコレステロールの1/4が集中しており不足すると神経伝達がうまくいかなくなります。
その結果・・・
・物忘れが早くなる。
・言葉が出ない。
・人と接するのが億劫になり引きこもりがちになる。
胆汁が出にくくなり・・・
・油物を食べたくない。
・食べても消化できない。
・ビタミンA,D,E,Kといった脂溶性ビタミンを吸収できない弊害が出る。
ざっと思いつくだけでもこんなに弊害があるのです!
卵を活用しよう
こういったことを考えると、コレステロールが上がらないように卵を食べないようにするというのは大きな間違い。
そもそも、卵を毎日3個食べてもコレステロールが必要以上に上がるわけではありません。
健康を気にしてタンパク源として最も優秀な卵を控えるなんてもったいない!!!
味噌汁に卵を落とすとか、納豆卵ごはんにしらすや桜エビを散らすととても健康的な朝ごはんになります。
どうぞ心配せずに卵を食べるようにしてください。
*どんなに体に良いものでも、毎日食べ続けたり食べ過ぎたりすればアレルギー反応が出るなどの弊害があります。卵を毎日食べている方は週に一日くらいは食べない日も作りましょう。
本当の問題点は何か
「でも、そうは言ってもLDLが高いと動脈硬化になるんじゃないの?」と言う方もいらっしゃるかもしれません。
実は問題は、LDLが高いことではなく、脂質の「酸化」が問題なのです。「酸化」することで固まってしまうからです。
そんな時は抗酸化対策としてビタミンEやDHA/EPAが役立ちます。ただ、ビタミンEやDHA/EPAは質の良いものである必要があります。そこはご相談いただきたいところです。
(もちろん対策はその人の必要に応じて異なります。)
やはり年齢と共に動脈硬化リスクは上がりますから、中性脂肪やホモシステイン、炎症マーカーなどチェックしておきたい項目があります。
自分の状態を知って、適切に対策を取れば、美味しいものを食べながら元気に歳を重ねることができます♪
(執筆:分子栄養学カウンセラー大野真理)