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「Luzのニュースから考える、薬と健康のはなし」


最近、注目を集めているLuzのニュース。突然の訃報に驚かれた方も多いと思います。
芸能人のニュースは一見、自分とは関係がないように感じますが、「健康」や「心のケア」を考えるきっかけになることも少なくありません。

今回は、抗精神病薬の内服と男性の健康、特に 男性不妊症 との関係について取り上げたいと思います。

抗精神病薬と副作用
抗精神病薬は、統合失調症やうつ病などの治療に欠かせない薬です。脳内の神経伝達物質(ドーパミンやセロトニンなど)のバランスを整えることで、幻覚・妄想、不安、気分の不安定さなどを和らげてくれます。
ただし、その一方で次のような副作用が知られています。
体重増加・代謝異常
性機能障害(性欲低下・勃起障害・射精障害)
ホルモン分泌の変化(高プロラクチン血症など)

特に「性機能障害」は、服薬を続けるうえで大きなストレス要因になることがあります。

男性不妊症との関わり
男性不妊の原因は多岐にわたりますが、薬の影響もその一つ。
抗精神病薬によってプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)が上昇すると、テストステロン(男性ホルモン)の分泌が抑えられ、結果的に 精子の数や質が低下 することがあります。
さらに、うつ病やストレスそのものも精子形成に悪影響を与えることがわかっています。つまり、心の病気と薬の両面から男性の生殖機能に影響が出る可能性 があるのです。

分子栄養学的な視点からできること

不妊や性機能のトラブルは「薬だけが原因」とは限りません。
栄養不足や代謝の乱れも大きく関わります。
当院では、次のような 分子栄養学的検査 を通じて体の状態を細かくチェックすることができます。
血液検査:ホルモン、鉄、亜鉛、ビタミンDなど精子形成に欠かせない栄養素を評価
有機酸検査:腸内環境やミトコンドリア機能のチェック
遺伝子栄養学検査:一人ひとりの体質に合わせた栄養の傾向を把握
これらの検査結果をもとに、食事やサプリメントで不足を補い、薬による副作用を少しでも和らげるサポートをしています。

大切なのは「正しく理解して相談すること」

ここで誤解してはいけないのは、
「薬が怖いから飲まない方がいい」という話ではないということ。
抗精神病薬は人生を守る大切な薬です。勝手に中止することは非常に危険です。
ただし、
不妊の悩みがある
性機能の変化を感じている
将来の妊活に不安がある
こうした場合は、 主治医や専門クリニックに相談 することが大切です。薬の調整に加えて、栄養療法や生活習慣の改善によって解決できる可能性もあります。

まとめ
Luzのニュースは悲しいものでしたが、私たちに「心と体のつながり」を考えるきっかけを与えてくれました。
抗精神病薬は必要不可欠な薬ですが、時に男性不妊や性機能の問題につながることがあります。大切なのは、正しく理解し、専門家と一緒に解決策を探していくこと。
当院では、栄養学的検査やカウンセリングを通じて「心と体の両面」からサポートしています。気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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