
いまのところアルツハイマー病を治す薬はありません。
しかし、超高齢化社会に突入している日本で、健康長寿を実現するにはアルツハイマー病の問題をクリアすることは必須要件です。
あなたは以下の点に当てはまるでしょうか。
□ 自分の家族や友人がアルツハイマー病
□ 認知症は一度進行したら治らないと思う
□ 40歳以上だ(→全て予備軍)
どうぞ、安心してください。
アルツハイマー病は予防できるし改善も可能だということがわかってきたのです。それも栄養状態、生活習慣の改善で!
アルツハイマー病ー真実と終焉
偉そうに書いてみましたが、この本の受け売りですw
著者のブレデセン博士(米国)がテレビ番組「世界一受けたい授業」にも出演されたので、みたことがあるかもしれません。
これまで、アルツハイマー病の原因は、脳に「アミロイドβ」と呼ばれるベトついたタンパク質の塊が蓄積されることにあると考えられてきました。
それで、アミロイドβを除去する治療のみが熱心に開発されてきたのです。
しかし、実際にはアミロイドβを除去できても病気は一向に回復しないというのが実情。それで、アルツハイマー病は不治の病とされているのです。
そこで、プレデセン博士らの研究では、「なぜアミロイドβが脳に溜まってしまうのか?」という根本的な部分に疑問をもち、真の原因を特定することに注力しました。
こうして、アルツハイマー病は不治の病から治療も予防の可能な病になったというわけです。
3つの「真の原因」
ブレデセン博士らのグループの研究で、アミロイドβの蓄積は「脳の正常な防御反応によるもの」であったということが突き止められました。
では、何からの防御反応なのか?
それがアルツハイマー病の「真の原因」とも言えます。
それは、以下の3つ
- 炎症
- 栄養不足
- 毒素
これらの脅威にさらされると、「防御反応」としてアミロイドβを集積させて、脳自体を守っているという見解です。
元々は脳を守るために集積されたアミロイドβも、過剰になることで逆に脳神経を破壊しアルツハイマーを引き起こしていたようです。
この状況を正常化するにはこの「3つの脅威」である炎症・栄養不足・毒素を取り除くことから始めなければいけないということになります。
興味深いことに、これらはまさに私たちが分子栄養学的なアプローチで日々行なっていることなのです!!
そしてこのブレデセン医師らの研究に基づいた「リコード法」は、なんとアルツハイマー病の9割に回復が認められたことが医学雑誌「Aging」(2014年)で発表され注目を集めてます。
「そんな、言うほど簡単じゃないだろう」
と言う声が聞こえてきそうですが、
分子栄養学を実践している立場からすると、脳神経はとりわけ栄養素の影響を受けやすい臓器であるため、栄養での改善は著しく早いのを多く見ています。9割改善と言われても決して大げさとは思えません。
リコード法
リコード法とは、ブレデセン医師により開発された、アルツハイマー病を主なターゲットとしたオーダーメイドの治療システムです。
先述した通り、アルツハイマー病の予防と治療のためにはアミロイドβの蓄積の原因となるものを突き止めることが先決で、そのために行う検査や治療のことをリコード法と呼んでいます。
この要因は一人一人異なるため、様々な検査結果に基づきそれぞれに生活習慣プログラムが組まれることになります。
(当院で行う検査で実施可能なものがありますのでお問い合わせください)
炎症・栄養不足・毒素への具体的な対策としては、食事(栄養状態)の改善、定期的な運動、睡眠の質の向上が中心になります。
その他には、脳トレ、ストレス対策、腸内フローラ・鼻腔内フローラの改善、ホルモン調整、カビや重金属など毒物のデトックスを推奨しています。ほとんど薬は使いません。
分子栄養学実践講座などで学んだ方はお分かりの通り、まさに分子栄養学的なアプローチそのものです。
例えばこんな検査
アルツハイマー病を予防、あるいは治療する上でどんな検査をするのか気になるでしょうか。
検査項目はたくさんありますが、ここでは3つだけご紹介します。
ApoE4(アポイーフォー)で遺伝子リスクを知る
アルツハイマー病の遺伝的なリスクを知るには、まずはApoE4(アポイーフォー)を調べることです。
ApoE4は、最も強力なアルツハイマー病の遺伝的危険因子として知られています。
・ApoE4を一つ親から受け継いでいるとアルツハイマーの生涯リスクは30%上昇。
・2つ保有していれば(両親から受け継いだ)優に50%〜90%のリスクになります。
・逆に一つもなければリスクはわずか9%です。
これまでは、治療法や予防法がなかったので、知りたくない遺伝子情報でしたが、今はそうではありません。
むしろ発症するよりずっと前から知って対策しておけば、アルツハイマーの発症を劇的に減らすことができます!
インスリン抵抗性を調べ、糖毒をみる
高インスリンと高血糖は、アルツハイマー病の最も重要な危険因子です。
人間の体は1日に15g以上の砂糖を処理するようには作られていないようです。しかし炭酸飲料500mlで40〜65gの砂糖をとってしまいます。
仮にジュースは飲まないとしても、朝から菓子パンと甘いヨーグルトあるいは甘いカフェオレ、昼は麺類とおにぎりなんていうのはごく一般的な現代日本人の食事です。
こういった糖質まみれの食事を続けていると絶え間なくインスリンを出して糖を処理しなければいけなくなります。(多すぎる糖は細胞毒になるからです。)
そうやってインスリンを出し続けていると、細胞はインスリンに反応しなくなります。これをインスリン抵抗性と言います。
血液検査で血糖値(BS)は低いのにインスリンは多いとすれば、
インスリンは出ているけれどブドウ糖は取り込めていない状態なのでインスリン抵抗性アリと見ます。
インスリンが多いことは糖尿病や脂肪肝だけでなく、アルツハイマーのリスクにもなります。
理由はこうです。インスリンを分解する酵素(IDE)は、アミロイドβの分解も担当しているため、IDEがインスリン分解にかかりきりになっていると、アミロイドβが分解されません。結果、アミロイドβが蓄積されてアルツハイマーの原因となるのです。
もちろん、細胞の糖化ーAGE(終末糖化産物)も認知症に影響します。
空腹時血糖値(90以下)、空腹時インスリン(4.5以下)、ヘモグロビンA1c(5.6%未満)を目指しましょう。
ホモシステイン
ホモシステインが高いこともアルツハイマー病の危険因子となります。
ホモシステインは炎症でも上がるし、シナプスへの栄養が不足した状態でも上がります。
ホモシステインはメチオニンというアミノ酸から作られます。
メチオニン
↓
ホモシステイン
↓
メチオニンやアミノ酸に再び変換される
という変換過程があるのですが、この変換にはビタミンB12、B6、葉酸が必要です。
これらの栄養素が不足しているとホモシステイン値は上昇し血管や脳にダメージを与えます。
ホモシステイン値は7マイクロモル未満が目標です。
ビタミンB12、B6、葉酸の摂取は自然なタイプのものが良いのですが、日本では手に入れにくいので、クロレラから摂ることをお勧めしています。
重金属デトックスもできますし、クロレラは様々な面で優秀です。
アルツハイマー病は予防も改善も可能です。ただ、40代から病気の進行は始まっています。
早めの検査と対策が明るい老後に繋がりそうですね。
(執筆:分子栄養学カウンセラー大野真理)