
あなたの体の中に小さな金属たちが存在していることをご存知でしょうか。
その金属の微妙なバランスがあなたの健康を左右しています。
それらの金属のことを私たちは「ミネラル」と呼んでいます。
ミネラルは体内を構成するわずか4%の微量な栄養素ですが、酵素作用や代謝調節作用を始め色々な生理機能に欠かせません。これらのミネラルがバランスよく存在していなければ健康を維持することも、生命活動を維持することもできなくなってしまいます。ミネラルはそれほど重要な成分です。
必須ミネラルは16種類
ミネラルは体内で合成できないため、食品からとる必要があります。しかし野菜・果物の摂取量が減っていますし、農薬の多用や酸性雨によって土壌のミネラルが減少しており、きちんとした食事をしている人でもミネラル不足に陥りがちです。
(しかしビタミンと違ってミネラルは摂りすぎると過剰症が出るので注意が必要です。)
【 必須ミネラルは16種類 】
主要ミネラルはカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、イオウ、リン、塩素の7種類。
微量ミネラルは鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、マンガン、コバルト、モリブデン、クロムの9種類、合計16種類になります。
特に不足しがちで問題になるのが、亜鉛やマグネシウムです。亜鉛もマグネシウムも共に約300種類の酵素反応に関係しているといわれる重要なミネラルです。
”酵素がなければ生きていけない”というような話を聞いてか、酵素ドリンクを飲むように気がけている方が増えました。確かに人は酵素によって生かされているのですが、実際は体内酵素は体の中でタンパク質によって作られるものです。そしてその酵素も補酵素の助けなしでは働けません。ビタミン・ミネラルは多くの場合この”補酵素”の働きをしています。
そんな訳で、体が正常に機能するために、不足したミネラルがあれば是非ともしっかり補給したいのです。
有害ミネラル
同じミネラルでも有害な働きをするものもあります。有害ミネラル(重金属)は、水銀、アルミニウム、ヒ素、鉛、カドミウム等です。魚介類や化粧品、水道水や汚染された空気など、生活の中で知らないうちに体内に取り込み蓄積してしまっています。
体内に入る経路は以下のようなものが考えられます。
・水銀:魚介類(マグロなどの大型魚)、歯の詰め物(アマルガム)、ワクチンの保存料
・アルミニウム:ベーキングパウダー、水道管、アルミ缶、食品添加物
・ヒ素:魚介類、海藻類、殺虫剤、井戸水、農薬
・鉛:水道管、陶磁器塗料、絵の具、排気ガス、缶詰
・カドミウム:タバコ、排気ガス、玄米、絵の具、水道水、塩化ビニル、プラスティック製品
例えば水銀が蓄積すると以下のような症状を引き起こします。
筋肉振戦、麻痺、痙攣、口内炎、歯周炎、多動や注意障害(小児)、自閉症、疲労、うつ、イライラ、手足の冷え、脱毛、自己免疫疾患、慢性疲労、副腎疲労・・
また、水銀蓄積により亜鉛の吸収が阻害されます。上記したように亜鉛は代謝や解毒に欠かせませんし、細胞分裂、生殖器機能、粘膜の正常化、皮膚の健康のためにも必要な栄養素です。それら全てに影響を受ける訳ですから、水銀が蓄積していることのマイナス面は非常に大きいものがあります。
また、タバコを吸っている人、またはタバコの副流煙にさらされている人は特にカドミウムが蓄積してしまいます。カドミウムというと、1968年に公害認定された「イタイイタイ病」で有名です。
慢性カドミウム中毒の特徴は以下のようなものです。
慢性気管支炎の既往がない肺気腫、腎不全、VD欠乏による骨折リスク、腎機能低下による貧血、高血圧、自己免疫疾患・・
水銀やカドミウムはメタロチオネインという解毒作用のあるタンパク質と結合して体外に排泄されます。メタロチオネインを作るのにも亜鉛が必要です。ですから、水銀やカドミウムの蓄積があるなら通常より多めに亜鉛を摂取することが対策の一つとなります。
まずは知ることから
あなたも、自分にどのミネラルが不足しているか、どんな重金属の蓄積があるか知りたいと思いませんか?
天神ホリスティックビューティークリニックでは、体内ミネラル・重金属測定のために「オリゴスキャン」という機械を導入しました。
OligoScan/オリゴスキャンは、手のひらを吸光光度法によりスキャンすることで、組織や血管壁に沈着している有害重金属14元素と必須ミネラル+参考ミネラル20元素を何の痛みもなく迅速に測定することができます。
当院では毛髪ミネラル検査も扱っていますが、オリゴスキャンは、ほんの数分で体内のミネラル量を測れる手軽さが魅力です。毛髪検査は髪を切る必要がありますし、結果を聞くのに1ヶ月ほど待たなければいけませんから。これからオリゴスキャンを使うのが楽しみです。
自分の状態を知ることで、的確な対策が可能になります。対策で欠かせないのが以下の4つです。
【ミネラル・重金属対策4つのポイント 】
・ミネラルバランスを維持するために、不足したミネラルを積極的に補う
・重金属排泄のため便秘を改善する
・適度に小まめな水分補給
・適度な運動、入浴、サウナによる発汗
分子栄養学を実践するには、何を摂るかだけでなく何を摂らないかも大切です。毒を排泄するのは非常に重要な工程です。自分のミネラル・有害金属の蓄積状況を知って、的確な栄養療法を行いたいと思う方は、どうぞお電話ください。
(執筆:分子栄養学カウンセラー大野真理)